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Eco culuture 環境にやさしい養液栽培 ピュアキレイザー

農業分野(養液栽培)トマトとイチゴの実証試験

東洋バルヴでは、環境を重視した循環型農業システムの研究に取り組み、まず、トマトとイチゴの養液栽培において、本装置の導入効果を確認するための実証試験を開始しました。なお、試験は長野県内3ヶ所の生産現場と1ヶ所の教育機関の協力のもとに実施したものです。(期間 2007/2〜現在)

全農長野県本部
高設いちご周年栽培実証施設
長野県
伊那市大芝
N農園(高設いちご)
長野県
松川町
S農園(高設いちご)
長野県
富士見高等学校
全農長野県本部高設いちご周年栽培実証施設
試験画像(PDF)
伊那市大芝N農園(高設いちご)
試験画像(PDF)
松川町S農園(高設いちご)
試験画像(PDF)
長野県富士見高等学校
試験画像(PDF)

試験で得られた主な成果。

  • 循環液(培養液)の不純物(有機物)の分解
  • 病原菌の除菌(分解)
  • 溶存酸素の供給と根の活性化
  • 水質への影響

不純物(溶存有機物)の分解

養液栽培で雨水や地下水等を用水として利用するときには、あらかじめ用水の内容を吟味する必要があります。とくに溶解する不純物は、しばしば作物に悪影響を与えますので、除去(分解)する必要があります。イチゴの生産現場の実証試験例によると、雨水由来の着色溶存有機物はピュアキレイザーの導入で浄化されることが明らかです(富竹貯水槽の写真)

富竹貯水槽の写真 富竹貯水槽の写真

野菜等の根による分泌物、微生物の代謝産物、有機性培地の溶出物には、生育を阻害する各種の有害性有機物が含まれます。それが継続的に培養液に混入しますと、作物は正常な生育を全うすることができません(写真参照、トマトのエチレン障害)。

トマトのエチレン障害

有害性有機物は有機酸、リグニンなどの溶存有機成分と、エチレン、メタンなどの有害ガス成分とに分けられます。本装置による有害性有機物の分解のメカニズムは、生成オゾン及びヒドロキシラジカルの強力な酸化力によるものです。そのとき、分解の対象となる主たる有機物は培養液に溶存する各種の有機化合物です、とくに鎖状の易分解性有機物は比較的容易に分解され、ここでは、溶存する全有機物(TOC)として表示しています。(TOC)はピュアキレイザーの導入で明らかに減少します(図参照)。なお、農薬、フェノール性化合物などの難分解性有機化合物の分解に与えるオゾンやヒドロキシラジカルの影響は未検討でありますが、相当な時間がかかると思います。また、大気中に揮散しやすいガス成分や不溶性の有機物の分解はあまり期待できないかもしれません。


試験データ:TOC試験による促進酸化の効果(グラフ①)

除菌+溶存酸素付加は生長促進に貢献

病原菌の除菌

養液栽培で発生する病害には、培養液を介して伝搬する病害と培地に蓄積して発病する病害とに分かれます。養液栽培では、病原菌が培養液中に入ると、増殖した病原菌が培養液により媒介されて作物は大きな被害を受けます。また、ロックウールのように培地を繰り返して使用する方式では、培地に病原菌が蓄積し、土壌病害と同様な連作障害を生じます。
養液栽培で発生する根部を侵す主な病害は、トマトでは、灰色疫病、根腐病、モザイク病など、キュウリでは疫病、灰色疫病、根腐病など、メロンでは疫病つる割病などが知られています。これらの病原菌は有害性有機物同様、オゾンやヒドロキシラジカルの酸化力で分解(除菌)されますが、オゾンの適正濃度、効果を示す原菌の菌密度などについては不明の点が残されています。ここではイチゴの萎黄病がピュアキレイザー処理で除菌される例を示します(図参照)

いちご萎黄菌の除菌効果

溶存酸素の供給

ピュアキレイザーで生成されるオゾンは、オゾン、酸素分子、一部ヒドロキシラジカルに変換されます。水中に溶け込んだ分子状の酸素を溶存酸素と呼びます。溶存酸素濃度は、水温、pH、有機物量、溶質などに左右されます。しかし、ピュアキレイザーで水処理した溶存酸素量は、いずれの条件において飽和溶存酸素量をやや上回ることが確かめられています。
養液栽培では培養液の溶存酸素濃度が野菜の生育に大きな影響を与えます。溶存酸素の不足は正常な野菜生育に決定的な阻害因子として働きます。野菜が低酸素濃度下(嫌気状態)で強度のストレスを受けると、根の呼吸速度が減少し、萎凋症状を招き、果実収量は大幅に減少します。根の低酸素条件では、光合成によって生成されたグルコースがEMP系と醗酵系によって乳酸あるいはアルコールなどに代謝され、ATPの転換エネルギー効率が好気的呼吸のおよそ20分の1に減少します。 すなわち、酸素が少ないと、野菜の基質(グルコース)の消費量は大きいが、ATPの生成効率がきわめて低くなるということです。これが高酸素濃度下(好気的状態)に移されると、ATPの生成効率は著しく高まるとともに、基質の消費も抑制されます。このことが野菜など作物生育にとって好気的環境が嫌気的環境より有利であることの理由となります。
培養液の溶存酸素濃度をある程度維持することによって、生育が促進され、収量はかなり増大します(トマト、イチゴの図参照)。通気組織が発達してないトマト、イチゴなどの野菜では、培養液の嫌気的環境を避けるために、培養液に酸素を人為的に供給し、必要な呼吸を手助けすることが重要となります。ピュアキレイザーの導入によって、トマトの培養液の溶存酸素濃度は栽培期間中、飽和溶存酸素濃度をやや上回るレベルで維持されます。


試験データ:ピュアキレイザーによる温度別溶存酸素濃度の変化(グラフ②)

通常、養液栽培の培養液および培地には、多種多様の有用あるいは有害な微生物が存在します。これらの微生物は培養液や栽培環境などにより変動します。主に培地中の物質代謝を担う微生物の生命を維持するには、野菜と同様に酸素が必要となります。
好気的条件では、微生物は呼吸系からの電子を酸素の電子受容体に移行させ呼吸を維持します。その反応式は下記のとおりです。

O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O

このように、溶存酸素の供給は、培養液の微生物活性を高揚しますが、藍藻など光合成細菌の旺盛な繁殖がみられる夏場では、その弊害を防ぐために、培地、給液タンク、チューブなどを直射日光から遮蔽する必要があります。

他方、嫌気的条件では、微生物は電子を酸素以外の電子受容体に移行させ、呼吸を維持します。その反応式は以下のとおりです。

① NO3- + 2H+ + 2e- → H2O + NO2-
(さらに、N2OまたはN2にまでに還元される)
② MnO2 + 4H+ + 2e-  → Mn2+ + 2H2O
③ Fe(OH)3 + 3H+ + 1e- → Fe2+ + 3H2O
④ SO42- + 10H+ + 8e- → H2S + 4H2O
⑤ CO2 + 8H+ + 8e- → CH4 + 2H2O 
⑥ その他 ;
有機物の嫌気的分解によって、一方では酸素呼吸を維持し、他方では有機酸類などの有毒な有機化合物、あるいはエチレンなどの植物生長制御物質を含む炭化水素類を生成します。

このように嫌気的条件(酸素不足)では、硫化水素などの有害ガス及びマンガンなどの呼吸阻害物質等が生成されやすくなります。その結果、植物生育は抑制されるばかりでなく、いろいろな種類の病原菌が繁殖し、根の活性が低下することと相まって病原菌に感染しやすくなります。ここでは、イチゴのうどん粉病、トマトのモザイク病の例を示します。

イチゴのうどん粉病
イチゴのうどん粉病
トマトのモザイク病
トマトのモザイク病

オゾン生成過程で生じる溶存酸素は、このような悪い環境を改善し、根の活性を高めて野菜生育を促進し、病原菌による感染力を抑制すると考えられます。

ところで、飽和状態をかなり上回る高レベルの溶存酸素濃度で養液栽培を続けると、野菜が過繁茂になったり、糖度が落ちたりするなどの果実品質の低下があるといわれます。悪影響を与える高濃度の溶存酸素がどの程度のレベルにあるかは不明ですが、栽培期間中、培養液の溶存酸素をほぼ飽和溶存酸素濃度に維持できる本装置は、高収量と高品質の野菜生産を同時に達成できることをイチゴの生産現場で確かめられます。

富竹貯水槽の写真 富竹貯水槽の写真

根の活力向上

有害性有機物の分解、病原菌の除菌、継続的な溶存酸素の供給と相まって、野菜の初期生育が促進され、生育量が大幅に増大することはすでに述べました。一方、ピュアキレイザー導入区のトマトやイチゴの根をみますと、根量が多いばかりでなく、健康的で美しい根が確認できます。(トマトとイチゴの写真参照)根の美しさや健康具合を感性として言葉でどう表現するかはとても難しいですが、トマトの活発な蒸散(葉からの水分の放散)による損失を、遮根シート上の毛根(不定根)が毛管液ばかりでなく、空気中の水蒸気からもなんとか捕獲しようとする健気な振舞いとして表現できます。写真で示すように、その健気な振舞いとは、試験・毛管区の逆立ちする毛根とそれに付着する真珠のような水滴こそがその証左となるでしょう。

富竹貯水槽の写真 富竹貯水槽の写真

水質への影響

ピュアキレイザーで発生するオゾン、ヒドロキシラジカルが、溶存有機物(TOC)の酸化分解に効果的であることは、前に述べたとおりです。一方、トマトやイチゴの試験例に限ってみると、強力な酸化力を有するオゾン、ヒドロキシラジカルが窒素、リン酸、カリウムなどの無機養分に及ぼす影響はほとんどないとみてよいでしょう。しかし、微量要素として培養液に添加されるマンガン及び鉄は、しだいに低下の傾向を示します(イチゴ、トマトの図参照)。これは、植物による両元素の吸収がとくに向上するということではなく、水酸化鉄、二酸化マンガンなどの生成沈殿物の影響ではないかと思われます。

なお、トマトの養液栽培試験によれば、ピュアキレイザー導入区の養液の液温は常に、対照区(無導入)よりも3〜4℃高く維持されることが明らかです。これは主に、液中での酸化反応による熱エネルギーの生成と深く関連すると考えられます。

ピュアキレイザー導入の意義

いまピュアキレイザーは、農業分野で水浄化装置として一定の評価が得られようとしています。ピュアキレイザーの水浄化能力は、大きく二つに分かれます。一つは作物生育に応じて循環液へしだいに蓄積されてくる有機性の生育阻害物質(各種有機酸、病原菌など)を、オゾンやヒドロキシラジカルによって酸化分解し、除去することであります。もう一つはオゾンやヒドロキシラジカルが酸化剤として働くとき放出される酸素を、溶存酸素として培養液に飽和状態で蓄積でき、栽培作物の根量やその活性を高め、養分の吸収効率を増大させます。また、作物に蓄積された光合成産物(糖)の化学エネルギー(呼吸)への変換効率を向上させます。このことにより、作物は生育が著しく促進され、栽培期間が大幅に短縮されることから、水、肥料、農薬の大幅な削減が期待できます。

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